自然治癒力

大往生したけりゃ医療とかかわるな 中村仁一

原因療法があるため受診したほうがいい病気は、そんなに多くはありません。
病気を治す力の中心をなすものは、本人の自然治癒力です。
したがって、薬は援助物質であり、医療者は援助者に過ぎません。
風邪など、原因の大部分がウイルスである場合は、安静、保温、栄養の下、発熱の助けを借りて自分で治すしかないのです。

微熱がある、ちょっと鼻水や咳が出る、少しどこかが痛むなどの症状があれば、すぐに薬を飲もうとする人がいます。
しかし、前述のように、薬は援助物質であり、力ずくで病気を追い払ってくれるわけではありません。
それどころか、症状は早く治そうとする身体の反応、警戒サインですから、それを無闇に抑えるのは、自然治癒を邪魔することになり、治るのが遅くなると考えた方がいいのです。
ただ、余程しんどければ、治るのが遅れるのを覚悟のうえで、苦痛の軽減、症状の緩和のために、ごく短期間、薬を服用するのはやむを得ません。