自分とは何か

いのちの言葉 作家作詞家 小椋佳 

今や、個人が自己選択的に生きざるを得ない時代、自己創造的に生きざるを得ない時代が始まっています。
こうなると、改めて「自分」というものを見つめることが必要になります。
ところがさて、自分というのは探し当てられるものでしょうか。
「自分とは何か」という問いを立て、自分という言葉を繰り返し唱えても、その回答は出てきません。

自分とは何かという答えを引き出す方法として、所有格の「の」を使う方法があります。
自分の何々という場合の「の」です。
その何々が自分にとって切り離せないものであったとき、それこそが自分自身だということです。

たとえば自分の土地、私の家、やっと手に入れたマイホーム、それこそが我がいのちだと言われる場合があります。
しかし、何らかの事情で土地を手放すとか、引っ越した場合、私は私でなくなるでしょうか。
土地や家が変わったとしても、私は私で存在しています。
とすれば、土地や家は「自分」とは切り離せそうです。