自分だけが苦しんじゃない

パニック障害、僕はこうして脱出した 円広志

僕はパニック障害で苦しんでいるけど、ふと周りを見れば、他の人たちもみんな、いろいろな悩みを抱えて生きているのが現実だ。
つい自分のつらい状況を、不幸のどん底だと思ってしまいがちだけど、でも本当は思っているほど悪いことばかりじゃない。

休養期間中の最後の方に、妻やスタッフと沖縄にバカンスに出かけた。
もちろん交通手段は飛行機である。
機内で発作が起きないか心配だった。
だが、搭乗前に頓服を服用すると、心配された「予期不安」の症状も出ず、まったく何もない。
これならテレビの仕事もできる。
調子の悪いときでも、出演前に頓服を飲めば乗り切れるという自信がついた。

復帰に当たって、朝の番組は避けた。
睡眠不足が一番心配だったからである。
寝不足になると、また症状が出るのではないかというプレッシャーから、余計に寝不足になってしまう悪循環が怖かった。

頓服を飲めば大丈夫という自信はあったものの、実際やってみると、不安がつきまとう。
あの例のセピア色に見える症状も時折顔を出した。
番組収録中も、そわそわし始めると頓服を服用した。
復帰が早すぎたか!という思いも強かった。
「この病気、死にそうで死なない。倒れそうで倒れない」その言葉だけが支えだった。