老化がらみ

大往生したけりゃ医療とかかわるな 中村仁一

生まれた者が成長し、古くなってあちこち傷んでくるのは自然の流れです。
老いは自然の過程で、特別なことでもありません。
ところが、これまで私たちの同業者がしたり顔で、「歳をとっても健康でなければ何にもなりませんよ。健康ほど大切なことはありません。だから健やかでに老いましょう」と言い続けてきました。
しかし、老いるとは健やかでなくなることなのですから、安心して歳をとれなくなってしまいます。

現在の日本人は若さにこだわり、年のせいを認めようとせず、発達したといわれる近代医療に過度の期待を持ち、老いを病にすり替えています。
なぜなら老いは一方通行で、その先には死が待ち構えています。
一方「病」には、回復の可能性があるからです。

年寄りの不具合は、すべて老化が原因か、老化がらみです。
今更、医者にかかって薬を飲んでみたところで、若返らせることは不可能ですから、根本的にはどうなるものでもありません。
もっとも、医療側も年寄りは大事な飯の種ですから、老化にもっともらしい病名をつけ、発達した医療に頼ればなんとかなるように煽り、期待を持たせます。
歳をとればこんなものと覚られるようなものなら医療側も困るのです。