生きる 4

今日一日を過ごせることが当たり前ではないことに気づき、感謝の念が沸いてきますと、貴重な時間をどう過ごすのか真剣に考えるようになります。
人生において本当に大切なことは何か、その優先順位を考え、生きがいについて深く考えるようになるのです。

60代で咽頭ガンになった男性が語ったことですが、その方は「節約」を心がけ、貯金通帳を眺めている時間に喜びを感じていたそうです。
でもガンになったことで、使い道を考えずにただ貯金をしていることに何の意味があるのだろう、と考えるようになったのです。
これまでは、家族のためにお金を増やす、残すことが大事だと思っていましたが、必要なものを購入したり、大切な人といい時間を過ごすためにお金はあるのではないか、と思い始めたそうです。

63歳で肝臓ガンになられた男性は、新聞記者をやめてコンサルタント会社を立ち上げ、忙しい毎日を送っていました。
やりたいことをやるために会社を立ち上げたはずなのに、気がつけばいつしか自由がなくなっていました。
この方は、阪神淡路大震災の時に神戸支局におられて、震災で自宅が半壊し、危なく命を失うところだったそうです。
自らも苦しみを抱えつつ、この状況を伝えなければという使命感から取材を続けられたそうです。
その思いを伝える本を書きたいと思っていながら、忙しい毎日の中で、どんどん先延ばしになっていました。
肝臓ガンになって、自らの人生の期限を知ったこの方は、部下に会社を譲り、大震災の体験を伝えるための活動をはじめたということです。