満足力

時間というものは、有効に使おうと思えば思うほど足りなくなります。
「時間は無駄にしてもいいや」と思った瞬間に、不思議ですが時間はゆったりと流れだします。
同じ時間なのに、どうしてこんなにも気持ちの豊かさが違うのでしょう。

若い時は喉から手が出るくらい欲しかったものでも、手に入れると思ったほどうれしくなかったとか、どんなに急いでも長い人生からみれば大差ないとか、財産が増えると患いも増えるとか、こういうことが歳を重ねてくると経験を通じて分かってきます。

人間には「記憶力」や「判断力」があるように、「無頓着力」のようなものもあるのかもしれません。
「無頓着力」が付いてくると「満足力」が備わり、それがやがて「感謝力」に変わっていくように思います。
幸福な生活を目指すなら「満足力」を養うのが早道かもしれません。

老年期になると、いつも「老い」という解決不可能な現実に直面していますから死を恐れる気持ちと同時に、不思議ですが死がすべてを解決してくれるという安堵感も沸いてきます。
だから「死」を必ずしも悪いとは思わなくなってきました。
だからこそ、今日を大切に生きようと思うのです。