村井国夫さん

わたしの落書帳から

俳優の村井国夫さんの話しが、週刊誌に掲載されていた。

人は目の前にあるものにすぐ慣れきって、あれもこれもと欲しがってしまう。
望めば何でも手に入ると、錯覚してしまう。
だが、それで本当の幸せにつながるのだろうか。
所詮、人間一人が手にできるものなど、たかが知れている。

昨年12月、心筋梗塞を発症して倒れた。
生活習慣病もなく、自分は健康体だと信じ込んでいた。
このまま倒れてしまったら、舞台は中止になり、劇団にも赤字を出させてしまう。
でも、このままでは命が危ないと説得され、手術をした。
舞台は結局、降板した。
地団太を踏むほど悔しかったが、倒れてしまったら仕方がない。
明日のことなんて、誰にも分からない。
だから、病と向き合いながら、今を生きようとした。

振り返ってみれば自分は、いつも足りないものにばかり目を向けていた。
それが、いかに馬鹿馬鹿しく、みっともないことかをはっきり感じるようになった。

そして、最後にこう言った。
「そもそも、あなたが必要だと思うもの、欲しいものは、本当に人生を豊かにしてくれただろうか?」と。