最後は人に委ねてもいい

死ぬときに幸福な人より

安らかに旅立っていかれたと思われる方々には、ある共通点があります。
それは、苦しみの中でご自身が拘っていたことや大事にしていたことを、人に委ねる覚悟を決められたという点です。
多くの患者さんは、最初のうちは入浴やトイレなど、身の回りのことを自力でやることに拘っておられます。
でも、身体も自由に動かすことができないような中で、現実とのギャップが生じ、苦しみが生まれます。
今まで拘ってきたことが、もう自分にはできないという現実を少しずつ受け入れ、さらに自分は多くの人によって支えられて生きているということに気づきます。

体力や気力が充実し、物事が順調に運んでいるときならば、拘っているものは生きるための張り合いになりますが、状況が変われば重い足かせになり、苦しみの元になるのです。