悩みは人と比較するから生まれてくる

明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい 樋野興夫

人と比べて一喜一憂してしまうのは、人生の役割が見つかっていないからでしょう。
自分の役割や使命がわかれば、人と比べることはなくなります。
「余人をもって代え難し」なことをしているわけですから、人と比べようがないのです。

私は病理学者ですから、これまでにたくさんのご遺体と向き合ってきました。
だから、人と少し違った見方ができます。
死から人生を見つめ直してみると、人との比較なんてどうでもいいことに思えてきます。
あの人よりもお金があるから、あの人よりも偉くなったから、あの人よりも有名になったから、これらのことが死の前にどれほどの価値を持つのでしょうか。

ご遺体を前にして感じることは、「いったいこの人の人生は何だったのだろうか?」
「自分らしく生きられたのだろうか?」
「自分自身の役割をまっとうすることはできたのだろうか?」です。
そこに他人との比較が入る余地はありません。

世の中の悩みは、人と比較するから生まれてくる。
自分本来の役割を自覚して生きていけば、人と比べることはなくなり、悩みもグッと減るでしょう。