忙しく生きれば元気が出る

いい言葉がいい人生をつくる斎藤茂太

することない人生は空虚だ。
神経科を訪れる患者さんの中には、「もっと忙しい毎日を送れば病気は吹っ飛んでしまいますよ」と励ましたくなるケースもあるくらいだ。
人生に不足が感じられたら、もう少し忙しく生きるのも1つの解決策かもしれない。

忙しさを楽しめるようになれば、自分のメンテナンスは身体的な疲れをとるだけでいい。
だが、最近はオフィスはOA化され、肉体労働の多くは機械に置き換えられた。
仕事の疲れの多くは、体よりも心の疲労になっている。
心の疲れは、体を横たえて何もせずにいても取れない。
かえって蓄積してしまいがちだ。
休暇には体を使う仕事をした方が、心身リフレッシュできるものだ。

共働きで小学生の子どもさんを育てているHさんは、週末の2日間を妻と、半分半分の日とした。
たとえば土曜日は妻がすべての家事を行い、夫は好きに過ごしていい。
日曜日は反対だ。
最初は、家事負担を公平にするために始めた休日シェアだったのだが、とくに男性のHさんにとって家事による体の疲れはかえって新鮮で、心の疲れをほぐしてくれることに気がついた。
とくに料理は凝りに凝っているそうだ。