健康寿命を延ばす

70歳からの選択 和田秀樹

50代くらいまで、仕事や子育てに追われ、なかなか自分の時間が持てないのも事実です。
しかし、高齢者になれば、住宅ローンの返済や子育ても終わり、自分の時間にゆとりが生まれてきます。
しかも、昔に比べて日本人の寿命は延びていますから、以前よりも自由になる時間が増えています。
だからこそ人生に悔いを残さないために、時間の使い方が非常に重要になってくるのです。

1960年の平均寿命が男性65.32歳、女性70.19歳だったのと比べると、ここ60年で男女とも16歳以上も寿命が延びたことになります。
厚生労働省は、3年ごとに「健康寿命」を発表しています。
健康寿命とは、健康上の理由で日常生活が制限されることなく生活できる期間の平均を示すものです。
2019年のデータでは、男性は72,68歳、女性は75,38歳ですが、これも健康なまま65歳に到達した人の場合には、男性で14,43歳、女性で16.71歳の健康寿命があります。
20歳から60歳まで40年間働いたときの平均労働時間はおよそ68,000時間。
この20%くらいの時間を65歳以降80歳まで、何かをして過ごさなくてはならないのです。
ちなみに、もしも60歳で再雇用もせずにリタイアした場合、60~80歳までの自由時間は73,000時間となり、現役時代の平均労働時間を超えることになります。
この時間をどう使うかによって、老後の人生は大きく変わっていくのです。
私はこの時間を有意義に過ごす方法としては、やはり働くことがもっともふさわしいと思っています。