人生の選択肢

入社以来順調に昇進を続け、給料も待遇も文句はありません。
仕事そのものも好きだし、魅力を感じています。
でも自分はいったい何のために毎日10時間以上も働いているのだろう。
これらの生活から何が生まれるのだろう。
心から「これだ!」と思える何かに全力投球してみたい。
こう考えている人がいました。

自問自答しても、情けないことに「じゃあ、本当は何をやりたいのか?」となると、それもよく分かりません。
あるとき、彼は妻と気分転換を兼ねて旅に出ました。
夜明けの海を眺めながら彼が溜息をついていると、妻が「何を考えているの?」と聞いてきました。
「これからの人生をどうしたものか・・、よく分からなくなってしまったんだ。今の仕事を一生続けていく気にはなれないんだよ」
「会社・・辞めたらいいんじゃないの」夫の心をよく知る妻は正直な気持ちを伝えました。
「辞めるなんて、できないよ」
「なぜ?」
「だって、家も買ったし、車も買ったし、やっと手に入れた今の暮らしはどうするの・・」
妻は穏やかだが、きっぱりとした口調で言いました。
「家は売ればいいじゃないの。私だって働けるし、食べていくには困らないわ。そんなことよりも大切なのはあなた。今の仕事は十分頑張ったし、そろそろ辞める潮時じゃないかしら。方向転換の時期だと思うわ」

その時のことを彼はこう言っています。
 「正直なところ当時の私は悩むばかりで、現実に会社を辞めるなんて考えられませんでした。そういう人生にの選択肢もちゃんとあるのに、初めから除外していたんです。目を開かせてくれたのは妻の言葉です」と。

人生の「選択肢」は無数にあります。