人を喜ばせたい、ただそれだけ

人のご縁ででっかく生きろ 中村文昭

僕が店でお客さんに喜んでもらったり、講演しているのも、お金のためではなく、精神的な豊かさを求めるからです。
もちろんお金が全くいらないわけではありません。
お金はゆとりを持つためにも必要です。
「だから最低限、余裕のある生活ができるまで、まずしっかり仕事をやっていこうよ」
「まだ人生の第一ステップ、もう少し頑張ってみろよ」僕は若い子たちをそう励まします。

人のご縁でお付き合いの輪が広がるにつれ、「大阪にこんな物件がある。事業を拡大しないか」「東京に出店してみないか」と、ビジネスのお誘いをよくいただくようになりました。
でも、いくらおいしい話があっても、僕は店を増やそうとか事業を拡大しようという気持ちにはなれません。
5店舗、10店舗と増やしていったら、商売をマニュアル化し、システム化しなければなりません。
社員も多くなって、僕の「人を喜ばせたい」という思いをスタッフに伝えることが、物理的に難しくなってしまいます。
僕は、みんなでドタバタ駈けずり回りながら、お客さんが喜んでくれるのを見るのが、なによりもうれしいのです。

会社が大きくなっても、「人を喜ばせたい」という商売の原点からずれてしまったら、何にもなりません。