乞食修行

人のご縁ででっかく生きろ 中村文昭

「何をするにも、志が必要。それがないなら乞食になれ」という徹底した教育です。
ちなみに、宮田さんの弟は「教師になりたい、そのためには高校、大学と行って・・・」というストーリーを練りに練って、進学を許されたそうですが、働きながら自分で学費を出して定時制に通い、毎月5万円の生活費を家に入れていたといいます。

こうして、宮田さんは卒業式を終えた後、その日のうちに父親から2つのものを手渡されました。
自宅から北海道までの片道切符と手紙です。
わずかな着替えだけを持って、宮田さんは一路乞食修行のため、北に進路をとったのでした。

行き先を決めたのは宮田さん自身でした。
ただ、当時、青函連絡船で海峡を越えて渡る北の大地に異国にも似た雰囲気を感じ、そこで新しい生活を始めてみようと考えたのです。
青函連絡船で、お父さんからの手紙を開きました。
でもそれは、励ましの手紙ではありません。
「右の者、家出少年ではございません。親公認のもと乞食をさせております。疑わしきは・・・」とあり、実家の連絡先が書かれていました。
いわば、警察に補導された時に身分を証明するための書類だったのです。

息子を送り出すとき、お父さんはこう言ったそうです。
「いつも自由。右に行こうと左に行こうと、そこで寝ようと起きようと、誰にも何も言われない。そこから得たものは、全部お前の手柄だ」