たおやかに生きていく

苦しみのない人生はない 幸せはすぐ隣にある 小澤竹俊

あまりにも苦しみが大きいとき、苦しみを和らげるために、嬉しい、楽しい、悲しいという心の動きが鈍くなり、何も感じなくなる人がいます。
そして人は、だんだんと感情を失っていきます。

「絶望に慣れることは、絶望そのものよりも悪い」というカミュの言葉があります。
絶望に慣れてしまい、ただ時間が過ぎるのを待つだけになると、人は感情を失うだけではなく、生きている意味そのものさえ失ってしまいます。
私たちは、自分の中にある弱さを認めなければ、この絶望的と思える苦しみと対峙することはできないと思うのです。

いつも心に留めていることは、私たちの弱さの中にある強さです。
弱いからこそ気づく、自らの支えなくして、たおやかな心は生まれないからです。
絶望としか思えなかった暗闇の中でも、苦しいからこそ気づくことがたくさんあります。
その何かに気づいた人は、どれほど苦しくても、どんなに絶望の中にあっても、たおやかに生きていくことができるのです。