お迎えの使者

やはり死ぬのはがんでよかった 医師 中村仁一

「自分の死を考える」という集いで、ある山村からの参加者が、3人の近親者がガンで亡くなった話しをしました。
3人は、幸い発見が遅れたため手の施しようがなく、医療の魔の手から逃れたため、いずれも穏やかな死だったという例を紹介してくれました。

ガンで痛みが出るのは、放射線を浴びたり、猛毒の抗がん剤で中途半端にガン細胞を痛めつけるせいではないかと思います。
完全に根絶やしにできるのなら兎も角、残党が存在する以上、身内を殺された恨みで復讐に出ても当たり前と前から思っていました。
今は、それが確信に変わっています。

今や、ガンは2人に1人が罹り、3人に1人は死ぬ病気ですとよく言われます。
しかし、この表現は正しいにしても脅し文句です。
ガンは老化ですから、高齢化がすすめば進むほど、ガンで死ぬ人間が増えるのは当たり前です。

繁殖を終えたら死ぬというのが、自然界の掟です。
生き物としての賞味期限の切れた年寄りのガンは、もう役目は済んだから「こちらに還ってきてもいいよ」という、あの世からのお迎えの使者と考えればいいわけです。