うつ病と薬

70歳からの選択 和田秀樹

睡眠のために薬を飲むくらいなら、無理に寝る必要はありません。
寝ないですむということは、それだけ脳が疲れていないということですから、それほど気にすることではありません。
ただ、睡眠薬や精神安定剤も、本人が息苦しい、調子が悪いといったときに飲んでもらうと、けっこう効きます。

前頭葉の萎縮やホルモンの減少は意欲の低下をもたらしますが、それがひどくなると、うつ病になることがあるのです。
とくに中高年以上のうつ病の原因は、幸せホルモンであるセロトニンが不足していることが多いのです。
各種の統計からも、40歳を超えるとうつ病の薬のメリットが副作用を上回ると考えられます。
つまり、40歳くらいまでのうつ病はカウンセリング的な治療のほうが薬よりも効果があるのですが、40歳を超えてからは薬の方が効く人が増えてくるのは、歳をとってセロトニンが減り、その結果、うつ病になったと考えられるわけです。