いちばん苦しまない死に方

70歳からの選択 和田秀樹

そして、もう動けないとなったら、ホスピスのようなところに入ります。
ホスピスは高額だと思われる方も多いようですが、公的医療保険の対象になっており、医療費と食費については全国一律です。
入院期間によって額は変わってきますが、たとえば61日以上の入院の場合、1日33,000円~33,500円で、これに健康保険の自己負担割合をかけたものが支払金額になります。(2割負担なら、1日6,600円程度です)
また、高額療養費制度も適用されるので、その限度額を超えた金額は、支払う必要がなくなります。
もちろん、個室などの場合は差額ベッド代がかかり、これはすべて自己負担なので高額になりますが、そうでなければ、普通の入院費程度で入れるところが増えているようです。

これは余談になりますが、いちばん苦しまない死に方というのは、脱水や餓死だとされています。
意識がだんだん遠のいて、眠るように死ねるといいます。
医者は患者が脱水状態になると点滴しますが、死が迫った末期の人に点滴をすると、心臓の機能が落ちているため、まず間違いなく肺に水が溜まります。
肺に水が溜まった状態というのは溺れているのと同じ状態ですから、すごく苦しいのです。
ですから、末期の人に、脱水でかわいそうだから、あるいは少しでも長く生きてほしいからと点滴しますが、本人にとっては苦しい場合が少なくないのです。