あなた

 投稿より

「親戚の一人でも反対したら、結婚はしない方がいいと思う」21歳の私は、あなたにこう言いました。
日本人であっても、日本人になりきれない私の不確かなアイデンティティ。
「私、あなたに最初に言っておかないといけないことがあるの」と、あなたに切り出した時、私の心臓は爆発しそうな位ドキドキしていました。
「実は私のお母さん・・・在日韓国人で、お父さんは日本人で戸籍上は日本人だけど、半分韓国人なんだ」
「・・・それで?」
「だから、もしそういうのが苦手だったら、今の内に別れた方がお互いのためにも・・・」
「君はそれでいいわけ?」
「う~ん、ほんとうはちょっと寂しいかも・・・」

何度もあなたを不幸にしてしまうかもしれないという思いにかられて、自分に自信が持てず、些細なことで喧嘩してあなたを傷つけました。
世間の現実の厳しさに立ち向かうことを恐れていた小心者の私、そんな私をかばいながら、あなたは現実の問題と闘ってくれました。
「おまえが火の中に飛び込むことはないだろう」というあなたのお父様の言葉に「人間はみな平等じゃないか!」と、自分の信念を貫き通したあなたに、大きな愛と強さを感じました。

あれから、いろいろなことがありました。
かわいい子供にも恵まれました。
私の父母との悲しい永遠の別れもありました。
でも気がつくと、いつもあなたは私の傍にいてくれました。
あなたといつまでも、一緒に歩いていきたいと心の底から思います。
ありがとう、あなた。