高齢者はコレストロールを増やすべき

70歳からの選択 和田秀樹

動脈硬化というのは、動脈の血管が次第に硬くなって弾力性が失われていくと同時に、血管の壁が厚くなるため、血管がつまりやすくなる状態のことです。
血管の壁が厚くなって脳内への血の巡りが悪くなるので、意欲低下につながるとされています。

この動脈硬化の元凶とされるのがコレストロールであり、コレステロールを含む食材が肉です。
「高齢者は肉食を控えるべきだ」などという論がまことしやかに説かれる理由でもあります。

確かに、30代くらいまでは、動脈硬化を防 ぐためにコレステロールを減らした方がいい場合もあります。
しかし、高齢者の場合、すでに動脈硬化がある場合にはコレステロールを減らしても意味がないばかりか、むしろ健康を害する可能性もああるのです。
男性ホルモンやセロトニンの分泌を増やすためには、肉やコレストロールの摂取が必要です。
これらの体内物質が少なくなると、うつ病になる可能性が増します。

加えて、コレストロール値が低いと、ガンになりやすいというデータもあります。
これは免疫細胞の材料が不足するからでしょうか。
したがって、高齢者は動脈硬化になることを気にしてコレストロールを減らすよりも、むしろコレストロールを増やすべきなのです。