足し算引き算

愛が本当に素晴らしいものであるならば、どうして愛は人類の間でもっと大きな感情に育っていかないのでしょう。
もし愛が、人間社会を占める大きな感情になっていれば「世界は平和」で満たされているはずです。

どうして、そうならないのでしょうか。
それは、愛の裏側には憎しみが張り付いているからです。
愛がいとも簡単に憎しみに変わるのは、その本質が「所有欲」にあるからです。
例えば恋人が、他の誰かと付き合い始めて自分の所有者でなくなった途端、恋人は憎しみの対象に変化してしまいます。
逆に言うと、自分のものにしたい、欲しいという感情を「愛」と言い換えているのかもしれません。

私たちは、足し算的な発想で生きていることが多いです。
お金でも、能力でも、地位でも、名誉でも数字が大きくなるのがいいことだと思っています。
でも足し算をしすぎて背負うものが大きくなると、自分の思いとは裏腹に幸福感が薄れてきます。
もし足し算をしすぎたなと感じたら、引き算をしてみることです。
不必要なものを人に譲ったり、与えたりしてみるのです。

足し算引き算は、物質的なものだけではありません。
例えば、自分の性格で治した方がよいと思われるところは引き算をしていくのです。
その上で、自分のよいところを少しずつ足し算していって、人間として完成に近づけていくのです。

 これらはもちろん理想ですが、このように考えるだけでも、人として一皮むけるような気がします。