誉め言葉は人を介して伝わるといい

いい言葉がいい人生をつくる 斎藤茂太

優れた仕事をする人は概して孤独なものだ。
トップランナーは、肩を並べて競争する仲間がいない。
二番手はどこまで追い上げて来ているのだろうかと、内心絶えず不安を感じている。
といっても、勝負の最中にそう後ろを振り返るわけにもいかない。
社内でもトップランナーの置かれた立場は同じである。
上司の誉め言葉は、こうした立場にある人間の不安を一掃し、その代わりに体の底からこみあげてくる力を与えるものだ。

同じ誉め言葉でも、他人に向かって誉め言葉をまき散らすとさらによい。
ちょうど、「おーい」と叫んだ声が山肌にこだまして、いっそう大きく深い声になって響くように、誉め言葉も他人を経由させると、当人の心に深く響くのだ。