許すこと

鮎釣りをしに川へ行き「さあ、釣るぞ!」と思った途端、河原に捨てられたポリ袋を目にすることがありました。
これを見た瞬間、怒りが湧き出て、ゴミを捨てた「見知らぬ誰か」を裁き始めます。
「こんな美しい自然の場所にゴミを捨てるとは、なんて無神経なんだ」と、考えているうちに、ますます怒りが増幅します。
そんな時、内なる声が語り掛けてきます。
「お待ちなさい。そんなふうに、見知らぬ誰かを裁くより、帰るときにゴミを持ち帰りなさい」と。
それもそうだと思い直し、自分の荷物の脇にゴミを飛ばないように石で固定します。
「帰りに持って行ってあげるからな!」と語りかけて・・・。

あら不思議、さっきまで怒りが充満していたのに、心のむかむかが消えて、安らぎの気持ちが湧いてきました。
そして、清々しい気持ちで鮎釣りを始めることができたのです。

ポイ捨てに対する怒りは、もしかしたら自分自身の罪悪感の投影であったのかもしれません。
昔、自分もゴミを持ち帰るのが面倒で、誰もいない場所を選んでゴミを捨てていったことがありました。
見知らぬ人が捨てたゴミを持ち帰るのは、自分の過去の過ちを解き放つためだったのかもしれません。
見知らぬ人と自分自身を「許す」ことで、気持ちが自由になることを学びました。