自分は何かの役に立つと思えること

「手紙屋」 喜多川泰

「1つしかない自分という木をどう削るか」と考えると、できるだけいいものにしたい。
だからこそ何を作るか、慎重になってしまいます。
それが、はじめの一歩を中々踏み出せない理由です。
将来やりたいことが決まっていないから、受験勉強という行動を始める気になれないという受験生も、少なからずこの心理が奥底にあるんです。

でも私たちは、山肌に落ちているただの朽ち木ではありません。
ですから私は、自分を木だと思うのではなく、自分には磨くべき木が次から次へと望んだ分だけ与えられるものだと思った方がいいと思うんです。
あなたはそれを磨いたり、削ったり、彫ったりして、自分の好きなものを作っていく人なんです。
私が裏山に行けば好きなだけ木を拾ってこられるように、あなただって望めば、削るべき木がどんどん与えられるというわけです。
1人の人間の役割が1つではないことからも、それは明らかです。

自分の存在理由は、いくつでも作ることができるんです。
大切なのは、どんなに小さな役割でもいいから、磨き始めたらちゃんとそれを完成させること。
何でもいいから1つ。
「自分は○○の役に立っている」と心から思えるものを作ることなんです。

そうやって1つ完成したら、また別のものをつくる気持ちが湧いてきます。
そうして、どんどん自分の人生に意味を与えていくのです。