老化と細胞

生物はなぜ死ぬのか 小林武彦

細胞分裂を重ねて細胞の数が増えてくると、それぞれの細胞が違う役割を持つようになり、身体をつくっていきます。
これが細胞の分化です。
1つめは、組織や器官を構成する体細胞です。
これが数としては一番多いのですが、分裂するたびに老化して、やがて死んでいきます。
2つめは、肝細胞で失われた細胞を供給します。
3つめは、卵や精子をつくる生殖系列の細胞です。

加齢による組織の機能低下の原因は、老化した体細胞がばらまく毒です。
組織の入れ替えには、新しい細胞の供給に加えて、老化した古い細胞の除去が必要です。
それには、細胞自身が細胞死を起こして内部から分解して壊れる、免疫細胞によって食べられ除去されるという2つのことが行われています。

ただし、加齢した老化細胞は、このような除去が起こりにくく、そのまま組織に留まる傾向にあります。
老化細胞が組織を害し、器官の機能を低下させるのです。