称号

誰かが私に「あなたは誰よりも親切でやさしいね」と言ってくれたら、内心では喜びながらも「そうでもないですよ。冷たい一面だってあるし、自分のことしか考えていないときだってありますよ」と受け答えするでしょう。

では今度は誰かに「あなたほど冷たい人はいないね。自分のことばかり考えて他の人のことなんてお構えなしだね」と言われたら、憤慨して「そんなにひどくないよ。これでも他の人に気を使っているんだよ」と語気を強めて言うでしょう。

同じように「あなた暗いね」と言われれば「これでも明るい方さ」と思うし、「あなたは明るいね」と言われれば「これでも暗いときもあるんだ」と言うかもしれません。

つまり人間には過不足なく、あらゆる性格が備わっているようです。
たとえばある人が我儘で意地悪な性格のように感じられたとします。でもそれは、その人が我儘で意地悪な一面を私の前で見せているだけかもしれません。もしかしたら他の人の前では、思いやりのある言動や行動をしているかもしれません。
もしこれが事実ならば、その人の持っている性格の中で心地よいものを引き出してあげるようにしてあげることです。

その方法は、その人に「あなたは思いやりのある人ですね」という称号を与えてあげることです。
称号を与えられた人は、その称号通りの人になろうとしますから。