父の後悔 1

「坊や、聞いておくれ。お前は小さな手に頬を乗せ、汗ばんだ額に金髪の巻き毛をくっつけて、安らかに眠っているね。お父さんは一人でこっそり、お前の部屋にやってきた。今しがたまで、お父さんは書斎で新聞を読んでいたが、急に息苦しい悔恨の念に迫られたんだ。罪の意識にさいなまれて、お前のそばに来たんだよ」

お父さんは考えた。
これまで、私はお前にずいぶんつらく当たっていたことを・・・。
お前が学校に行く支度をしている最中、顔を洗わずにタオルで顔をちょっと撫でただけと言って叱った。
靴を磨かないからといって、叱りつけた。
また持ち物を床の上に放り投げたといっては、怒鳴りつけた。
今朝も食事中に小言を言った。
食べ物をこぼすとか、丸呑みするとか、テーブルに肘をつくとか、パンにバターをつけすぎるとかいって、叱りつけた。
それから、お前が遊びに行くとき、お父さんは停車場に行くので一緒に家を出たが、別れるときお前は振り返って、手を振りながら「お父さん、いってらっしゃーい~」と言ってくれた。
でも私は顔をしかめて「胸を張りなさい!」とお前を怒鳴っていた。

同じようなことを私は夕方にも繰り返してしまったね。
私は帰ってくると、お前は友達と道路で地面に膝をついて、ビー玉で遊んでいた。
靴下は膝のところが穴だらけになっていた。
私は、お前の友達のことも無視してお前を家に連れて帰り「靴下は高いのだ! お前が自分で金を稼いで買うんだったら、もっと大切にするはずだ!」と怒鳴っていた。
これが、お父さんの口から出た言葉だから、我ながら情けないよ・・・