母の作ってくれたお弁当が大好き

22歳 女性の投稿から

私は小学生のころから、母の作ってくれるお弁当が大好きでした。
母は保育士なので、朝早くに家を出て夜遅くなるまで働いていましたが、忙しい中でも家事はしっかりこなし、私たち兄弟のお弁当はいつも手作りでした。

小・中学校は給食でしたが、高校になると毎日お弁当がいり、母の負担は大きくなりました。
「たまにはコンビニで買っていくからいいよ」と私が言うと「そんなんじゃお腹が持たないでしょ」と、嫌な顔一つせず毎日お弁当を作ってくれました。

高校三年生の時に弟も高校に入学し、朝の食卓にはお弁当が2つ並ぶようになりました。
私が大学に進学して下宿暮らしとなっても、母は弟の弁当を作り続けていました。
弟が一人暮らしを始めたと思ったら、翌年には妹が高校生になり、母はまたお弁当を作らねばなりませんでした。

久しぶりに下宿から実家に帰った日の翌朝、母が私の部屋に来て銀行の封筒を手渡してくれました。
「1か月分の生活費だからね。大事にするんだよ」
優しく語りかけた母は洗濯の途中らしく、すぐに出て行ってしまいました。
私の手に残された封筒は重く”これは両親の血と汗と涙の結晶なんだ”と思い知らされました。
着替えを済ませて台所に行くと、母はもう仕事に行く支度をして玄関にいました。
「あなたの分もお弁当作っておいたからね」と母から言われ、えっ、と思い食卓を見ると妹と私のお弁当が並んでいました。

「お母さん、いってらっしゃい」玄関を出ていく母の背中を見ながら”この母を決して不幸にしてはいけない!”と心に誓うのでした。