普通のことができるということ

ホスピス医の著書から

私たちは普段、お金が欲しい、出世がしたい、おいしいものが食べたい、海外旅行に行きたいなど、様々な欲望を抱えて生きています。
欲望が満たされないと、心の中に不満や苦しみ、悩みが生まれることになります。
ところが大きな病気になったり、歳をとったりして、身体が思うように動かせなくなると、欲望の在り方は変わります。

それまでは
「おいしいものが食べたい」 と思っていた人が
「胃ろうではなく、もう一度自分の口で食事をしたい」 と思い、
「海外に行きたい」と思っていた人が
「もう一度、自分の足でトイレに行きたい」
と思うようになるのです。

健康だから、欲に駆られるのです。
当たり前のことは、当たり前でないのです。
普段、普通にやることができることが幸せなのです。