早く相談を

辛い気持ちが消えていく 斎藤茂太

悪友からお金を取られ、それを苦にして自殺してしまうという少年少女の悲劇が、時々ニュースになる。
「どうして早く、親や学校の先生に助けを求めなかったのだろう」
実は、似たようなことが大人の社会でもある。
患者さんを診ながら「こんなに心がボロボロになる前に、どうして早く助けを求めてくれなかったのだろうと思う。
みなさん多忙な仕事に、プレッシャーに、思うようにならない生活に「どうして、そこまで」と思うくらい、健気にがんばる。
がんばった末に、どこかで耐えきれなくなって病院に来るわけだが、もっと早く来てもらえれば、ここまでひどくならなかったのにと思う。

少年少女が親や教師に助けを求められない理由には、恥ずかしいという気持ちがある。
この恥ずかしいという気持ちには、二重の意味がある。
親や先生に恥じる気持ち。
もう一つは、こんなことで人に助けを求める、自分自身の弱さ、ふがいなさを恥じる気持ち。
簡単に言えば、プライドの問題ということだ。