情報を知って自分で選択する

70歳からの選択 和田秀樹

生きる上で、情報は多い方が、自分に悔いのない選択ができるはずです。
たとえば、抗がん剤が高齢者にはつらいものだという情報を知っているかどうかで、自分の抗がん剤治療の選択は変わってくるでしょう。
それでも長生きしたいならそれでいいし、苦しみたくないならそれも選択です。
しかし、知らずに医者の言うままに抗ガン剤治療を受けて、苦しみ続けながら最期のときを迎えるのなら、後悔が残るのではないでしょうか。

日本では、ほとんどの治療に、やったときとやらないときの大規模比較調査がなされておらず、エビデンスがないまま、医師は自信満々に患者に治療を押し付けるわけですが、私はエビデンスだけでは不十分だと思っています。
というのは、患者には個人差があるからです。
タバコを吸うと長生きできないというエビデンスがあるのですが、タバコを吸いながら100歳まで元気で生きる人もいます。

幸せというのも主観的なものです。恵まれた環境でも幸せを感じられない人もいれば、ちょっとしたことを幸せと思える人もいます。
だから、歳をとるほど、自分は自分、人は人と思えばいいのです。
自分にとって幸せだと思える選択をすればいいのです。