励まし 3

いのちの言葉 ホスピス医 柏木哲夫医師

すると妹さんは、末期ガン患者の姉さんのベッドサイトへ行くと、いきなり「姉ちゃん、つらいな、しんどいな・・」と言い出したんです。
とても素直な人なんですね。
最初のうちは演技的だったのが、だんだん情がこもるようになり、二人の心がぴったりとしてきました。
安易に励ますより、理解的な態度をとるということが、末期の患者さんには大切なんです。

具体的に言うと、患者さんが言われた言葉を、少し自分の言葉にかえて返してあげると会話が続くし、患者さんは弱音をはきやすくなります。
「もう駄目なんじゃないか」という患者さんに「もう、治らない。そんな気がするんですね」と返してあげる。
これが理解的な態度です。

もちろん、患者さんが「よし、がんばろう!」と思っているときに、「がんばろう!」というのはいいんですよ。
ただ、最期まで励ましっぱなしというのがよくないのです。