先生、つながって!

ココロの架け橋 中野敏治

ある日、フェイスブック経由で、私に繋がってほしいと教え子からリクエストがありました。
中学校2年、3年と担任をした女子生徒でした。
もちろん「ぜひ」と答えました。
しかし、驚くべきことか、私へのリクエストメッセージに「先生って呼んでいいですか?」と書かれていました。

実は、担任をした2年間、やんちゃだった彼女は、私の指導に反発していました。
私と何度もぶつかっていました。
それでも私は、彼女がちゃんと中学校生活を送ってほしいと思い、強い指導もしてきました。
そして、中学校時代、彼女は担任の私を「先生」と呼んだことは一度もありませんでした。
なのに、中学校を卒業して20年以上たった今、彼女から私に届いたメッセージが「先生って呼んでいいですか?」ですから驚きです。

こんなメッセージも彼女から届きました。
「先生の名前はくすぐったいなあ~(汗)。寂しかった私はたくさん迷惑をかけましたね~。だから、こうしてフェイスブックでつながれて感謝しています。てれくさいかもな~」
彼女は、中学校を卒業するころ、母親が病気で入院していたのです。
彼女は毎日、学校帰りにスーパーマーケットに立ち寄り夕飯や弁当のおかずを買っていました。
それから病院へお母さんの看病に行き、そして帰宅してからは、夕飯の支度をして父親を待っていました。
朝は早く起き、自分のお弁当を作り、お昼には他の友達と同じようにお弁当を食べていました。
その大好きだったお母さんは、彼女の高校の合格も、彼女の卒業の姿も見ずに亡くなったのです。