修学旅行

ココロの架け橋 中野敏治

修学旅行の前日には、全生徒を集め事前指導が行われます。
生徒の司会で最終確認をしていきます。
私もその場に呼ばれ話す機会をいただきました。
そこで、こんな話をしました。
「旅には3つの楽しみがあります。1つめは出発前の楽しみ、2つ目は旅先での楽しみ、3つ目は帰ってきてからの楽しみです。今日は、2つ目の旅先での楽しみが増える方法を話します。それは、旅先で出会ったすべての方に感謝することです。ホテルには入るとき、大きな声で『お世話になります』と、帰るときは『お世話になりました』と。また、バスやタクシーに乗ったとき、運転手さんに声に出して、感謝の言葉を伝えてみましょう。人間は感謝の言葉を声に出すことによって、どんどん心がやさしくなっていくのです」

修学旅行の2日目は、ジャンボタクシーを借りて生徒たちは班別に京都市内を観光しました。生徒が計画した見学地へ先に行っていると、どこの班も男女仲良く、また運転手さんと楽しそうに話しながら見学していました。

2日目の日程が終わりに近づき、ジャンボタクシーがホテルに帰ってきました。
とても楽しそうに充実した顔をして降りてくる生徒たち。
その生徒たちが、運転手さんに声をかけているのです。
大きな声で「ありがとうございました」、そして、何かを渡しているのです。
よく見ると、お土産を買おうと持ってきた自分たちのお小遣いを出し合って、買ったと思われるお礼の品を運転手さんに渡しているのです。
運転手さんは戸惑いながらも、「これ、もらっていいの?」と、うれしそうな顔で生徒に声を返していました。