体が動かなくなったときも想定すべし

うまいこと老いる生き方

趣味があれば老後が楽しいと思ったら間違い。体が動かなくなったときも想定しておくべし。

92歳精神科医 自分が思っているよりも早く、お迎えが来る可能性もあることを頭の片隅に入れておくべきという話しをしたけど、私みたいに想定以上に長生きしてしまう場合に備えておいた方がええことも話しておくか。予想外に長生きしてしまった私からの提案としては、まずは、体が動くうちにできる楽しみや趣味は、たっぷりしておくことやね。私は旅行が好きやったから、国内で行きたいところは大体行っておいた。だから、今みたいに杖歩行になってしまってもあまり後悔はないね。

54歳精神科医 なるほど、先生はそのようにされて、後悔なく老後を過ごせているのですね。

92歳 いや、まったく後悔がないといえばウソになるけどな。ほどほどに満足はしている。足を骨折して、仕事をやめてから家におるやろ。暇を持て余すことがあるから、家でできる趣味も見つけておいたらよかったなと、それだけは小さな後悔かなあ。

54歳 先生は、孤独は怖くないと語っておられましたね。

92歳 そうやね。何とも思わへんな。週に何回かヘルパーさんが来てくれるから、嫌でも話すしね。歳をとって私のように自由に動けなくなったら、一人でも機嫌よく過ごせないとやっていけないと思うよ。同年代の友人もそんな調子になってくるからね。孤独は悪いことでも恥ずかしいことでもない。もちろん、時々話せる家族や友人も必要やけど、その人たちと四六時中一緒に過ごすわけにはいかないやろ。一人時間には慣れておかないとね。