他己満足のために

しあわせトリック おかのきんや

私は以前、仕事がうなくいかなかったとき、死ぬほど努力をしました。
しかし、努力をすればするほど貧乏になっていきました。
「なぜなんだろう?こんなに努力をしているのに・・・」
どうしていいか分からずに、泣きたい気持ちで一杯でした。

今なら分かります。
私は的外れな努力をしていたのです。
そして、そんな努力をしている自分に自己満足していたのです。
さらには「これだけ努力すれば、神さまも何とかしてくれるだろう?」などという勝手な神頼みもありました。

大事なのは、自分の気が済む済まないではなく、相手の気持ちなのに・・・。
そう思ったときに、ハッと気がついたんです。
自分も人を喜ばせるための漫画を描いていながら、人の気持ちなどはこれっぽっちも考えず、自分の気持ちが済む済まないで描き続けているのではないか?
しかも、こんなに努力をしていると自己満足さえしながら。
それでは、ヒット作に恵まれるわけはありません。

そのことに気がついてから、私は目の前の人や作品を届ける相手が「どうすれば喜ぶのか」、「どんなものを求めているのか」を一番に考え、努力するようになりました。