人生50年時代

いのちの言葉 臨床心理学者 河合隼雄

昔は「人生50年」という言葉がありました。
私の子ども時代でも、普通は50歳くらいまでは生きる。
もう少し長生きする人は60歳、特別な人は70歳になる、というように皆が思っておりましたし、実際もそうでした。。
そうすると、一生懸命働いて、だんだんと疲れてきたころに退職する。
その頃に、昔流にいえばお迎えが来て、その人の一生が終わります。

ところが今は、60歳になってもお迎えが来てくれない。
お迎えが来ないとなると、そこから80歳まで生きなければならないわけです。
これは、運動会に出て、はじめに「500メートル走ってください」と言われたので、一生懸命500メートル走ってテープを切ろうとしたら「ちょっと待って、あと200メートル走ってください」と言われたようなものです。
一山超えて、もう一山あるということです。