人を説得する 2

インテリアデザイナーに部屋のカーテンを作らせた人がいました。
請求書が届くとその値段に、息の根が止まるような気がしたと言っていました。

数日後、彼の元へ婦人がやってきてそのカーテンを見ました。
彼が値段を聞かせると、彼女はまるで勝ち誇ったような調子で「まあ、随分なお値段ね。大分儲けられたんですよ!!」
実は彼も、彼女の言う通りに思っていた。
だが自分の愚かさを暴露するような事実に、好んで耳を傾けるつもりはなかった。
そこで彼は大いに自己弁護をやったのです。
「良いものは結局安くつくんだ!」とか「上等な芸術品は、特価品より高くつくのは当たり前だ!」のように・・・思いつくことを次々に言ったものです。

次の日、別の婦人が訪ねてきて同じカーテンを見ると、しきりにそのカーテンをほめそやし、私もお金があればぜひ欲しいものだと言いました。
それに対する彼の反応は・・「実のところ、私はこんなものを買うお金があったわけではありません。どうも、ぼられたような気がします。注文しなければよかったと後悔しているんです・・!」

私たちは自分の非を自分で認めることはよくあります。
でもそれを他人から指摘された場合や、相手がそれを無理やり押し付けてくた場合は、怒りが沸いてきて平常心ではいられなくなります。
ところが、相手の出方がやさしくて巧妙だと、あっさり兜を脱いで、素直に自分の非を認めることができるのです。