ピーコさん

ピーコさんの話し

テレビ番組での街頭ファッションチェックで「太い」「汚い」などとズケズケ論評する「辛口」は「悪口」と裏表。多くの人を不愉快にしていたのかもしれない。

同性愛を公表し、誰にも頼らず、人の世話にならずに生きてきたつもりだったけど、がんになって左目を摘出し、永六輔さんや吉行佐和子さん、石井好子さんら友人に支えられて今があると思い知った。

何か決断するときも、今は「自分のため」より「誰かのため」を考える。東日本大震災が起きてからはNPO法人「プロジェクト伝」の被災者支援も手伝っている。

がんになり左目は義眼になったけれど、大変なことはちょっとだけ。片目では遠近感が測れず、階段やちょっとした段差につまずくことは今でもしばしば。でも毎朝、朝起きたら義眼を洗い、目に入れることも当たり前の日常になった。不便なことも慣れてしまえば、それほど負担ではない。

勝手気ままに生きてきた愚かな自分を変え、「誰かのため」に生きることの意味に気づかせてくれた。残った命は自分以外の人たちのために使う。今は「がんになって良かった」とすら思う。片目を失って初めて見えたこともある。