シカトといういじめ

人のご縁ででっかく生きろ 中村文昭

ドーベルマンやシェパードのような、大きな強そうな犬が、悠々とお腹を見せて甘えている様子は、いっそう強く見えるものです。
本人らしさを光らせることこそ、本当の力となってくれるのです。

こうまでして「出会い」を求める僕の、やむことなき「人なつき」のルーツは、意外にも田舎での試練にあるようです。
自然に囲まれて、自然児として気ままに育った僕にとって、最初の試練の時は中学時代でした。
小さな山村ですから、幼稚園から小学校までは、同学年の子どもが12人しかいなかったのですが、中学校で統合されて60人ほどに増えたのです。
これまで12人を率いてガキ大将でいられたのに、中学ではそうはいきません。
それぞれのグループの勢力争いが始まりました。

ある時から、彼らは結束して僕を無視し始めました。
自分の仲間すら、そっぽを向く有様です。
学校へ行っても誰も口をきいてもらえません。
今でいういじめ、シカト、古い言葉で言えば村八分でしょうか。
でも家に帰れば母が毎日必ず「でやった?」と言ってその日の出来事を聞いてきます。
これまでは台所仕事をする後ろに纏わりついて、母にうるさがられるほど、一日の出来事を話していた僕です。