キャリアを手放す勇気 9

今になって思うのはマッキンゼーにいたあの時、お笑い芸人になる決断をするだけで、どうしてあんなに自分の中で大騒ぎをしていたのだろう、ということです。
自分は世の中の価値観に振り回されていたと思っていましたが、結局自分をがんじがらめにして窮地に追いやっていたのは、学歴でもなくマッキンゼーでもなく、自分の認識でした。

人生を俯瞰して振り返ると、誰しもが「どうして当時はあんなことを気にしていたんだろう」と、今になればどうでもいいことたくさんあると思います。
最近ではもう「100年後には知人は誰もいないし」と開き直れる図太さを身につけてしまいました。
決断が怖いと思うとき、物質的、金銭的に何かを失うことの恐怖以上に、「他人の目」「周りからどう言われるか」に耐えられない人が多いのではないでしょうか。
人は自分が思うほど、あなたのことを見ていないのです。

挑戦の数だけ当然「失敗」があります。
でも本人にとっては挑戦の一環なので本当の意味では、失敗どころか成功への前進です。
エジソンは「私は失敗したことがない。ただ1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」と言っています。

高学歴の人にチャレンジする人の少ないのは、経歴に縛られているからです。
意地悪な言い方をすれば、プライドが高いのです。
東大出身の芸人より、東大出身の引きこもりの方が多くいると言われるのは、そういう背景があるからです。

未来が不安だから、今行動を起こせないという人がいます。
しかし、未来はあれこれ思いあぐねたところで、絶対に思い通りにはなりません。
「来年生きている保証だってどこにもない」のに、未来のことであれこれ悩んだって仕方がないことです。
何も考えないのも問題ですが、未来のことを心配し過ぎて、思った通りに動きが取れなくなるなんて本当にもったいない話です。