オムライス 3

そんなある日、仕事中に祖母が入院したという知らせが入りました。
今では唯一の肉親となってしまった祖母でしたが、途中でお店を抜けるわけにはいきません。
心配ではありましたが、その2日前に電話したときは元気そうな声をしていたので、とりあえず明日、出勤前に会いに行こうと考えていました。
でも、その日のうちに祖母は帰らぬ人となりました。
まさか、そんなに悪かったとは思っていなかったので、連絡を受けた私はお客さんの前で唖然としてしまいました。
すぐに駆け付けたオーナーに「早くいってあげなさい」と言われても、どうしていいか分からないくらいでした。

祖母と無言の再会を果たすことになった私。
大好きな家族を楽にしてあげたかった、そう思ってずっと必死に頑張ってきました。
でも結局、私を残してみんないなくなっちゃった。
「あばあちゃん、ごめんね」最後の肉親の死に目に会えなかった私は、一体何をやっていたのだろうと思いました。
突然の孤独感に襲われ、力が抜けていきました。
でもいつまでも甘えているわけにはいきません。
私にはオーナーの店を開けるという大事な仕事がありました。