どういう死に方がいいかという雑談

いのちの言葉 山折哲雄 宗教学者

病気の問題に入ってみましょう。
私は、子どものころからいろいろな病気をいたしましたが、現代医学のおかげで今日まで生きながらえることができました。

あるとき、生と死を考える研究会に呼ばれて話しをしにいったことがあります。
控室では5,60代のご婦人が雑談をしていました。
聞くともなく聞いていると、結構深刻な話しをしていたんですね。
もし、病気になって死ぬとしたら、どういう死に方がいいかという問題です。

ガンで死ぬのとボケて死ぬのと、どちらがいいか、そんな話に発展していきました。
結局、ガンで死んだほうがいいという結論に落ち着いたようです。
その理由は、ガンは最後の最後まで人間らしく死ぬことができますが、ボケた人、アルツハイマーにかかった人は、人格を喪失したような形で最期を迎えるようになる、ということでした。