すべての物質の素材は一緒

夢をかなえるゾウ 水野敬也

自分は、どこからが「自分」なのだろう。
生まれたばかりの赤ちゃんのころからだろうか。
お母さんのお腹の中にいるときはどうなんだろう。
そして自分は、どこまでが「自分」なのだろう。
意識があるときまでだろうか。
歳とって、周りの人が分からなくなったり、記憶がはっきりしなくなったら、もう自分とは違うのだろうか。

物質を形つくる一番小さい単位の粒子を想像してみる。
岩も石も砂も、人間も、その粒子が集まってできたものだとしたら、この世界に存在するものはすべて、同じ素材で作られたものが形を変え続けているだけと言えるのではないだろうか。

粒子を集めたものを世界と呼ぶとしたら、世界は一つであり、世界はさまざまな分身を生み出しながら形を変え続けているだけと言える。
すべてはつながっているわけで、私たちはその一部だけを切り取って、名前をつけて、別々のものとして認識しているにすぎないのだ。

そういうものの見方が当たり前になっているから、全体と自分を分けて捉えてしまうのだろう。