すべてが怖くなった

パニック障害、僕はこうして脱出した 円広志

高い所もダメだ。
もちろん、飛行機も乗れなくなった。
機内でいたたまれなくなっても「止めて、戻って」とも言えない。
もしそうなったらどうしよう、と思っただけで、心臓がパクパクいった。

恐怖を感じるものはどんどん広がった。
なぜ、こんな感覚にとらわれるのか。
理屈ではないのだ、とにかく怖い。

徳島県に作曲をするための別荘を持っていた。
が、四国に渡るためには明石大橋を渡らなければならない。
健康な頃は快適な走行と遠く望める瀬戸内の青い海と島を堪能できたが、不調になったからというもの、風景の奥に吸い込まれそうで、まともに目を開けていられないほどだった。

空間の広がりを感じさせられる、ホテルのロビーもダメになった。
何をしても恐怖がまとわりつく。
新聞を読んでいても、テレビを見ていても不安が駆け巡るのだ。

今度はどんな恐怖がぼくを襲うのだろうか、そう考えただけで、頭は恐怖に支配された。
地震に例えれば、震度2,3クラスが頻繁にあった。
震度5,6クラスも少なくなかった。