「にこにこ」と「にっこり」

ココロの架け橋 中野敏治

ある日、小学校の研修授業に参加しました。
修業は小学校2年生の国語でした。
授業には毎時間その授業のねらいがあり、そのねらいに向けて授業が進められていきます。
授業開始からしばらくして、突然女の子が手をあげ「先生、ここに書いてある『にこにこ』と『にっこり』ってどこが違うの?」と、教科書を指さしながら先生に質問をしました。
教室の後ろで授業を見ていた私もあわてて、教室の後ろに置いてあった辞書で調べてみましたが、そこには「にこにこ」も「にっこり」も「声を出さず、うれしそうに笑うようす」と書かれてありました。
もう1冊の辞書には「にこにこ・・・楽しそうに微笑を浮かべるさま。にっこり・・・にこにこ」と書かれてありました。
「にこにこ」も「にっこり」も同じなのです。

すると1人の女の子が手をあげ、「先生、にこにこには、いっぱいにこにこするんだよ。にっこりは、にこっと短くするんだよ」というのです。
教室内の子どもたちは、うなずきながら納得した子と首をかしげる子がいました。
そして、ちょっと間をおいて、今度は男の子が手をあげ、教室の前に出ていきました。
みんなの方を向いて、「僕の顔をよく見てよ」というと、その男の子はみんなの方を見て「こうだよ」と言いながら、自分の顔で「にこにこ」と「にっこり」の違いを伝えるのです。