5月には雨が降ってほしい

ココロの架け橋 中野敏治

1人の1年生が、正式入部したばかりの5月ころから、部活動を早退することが多くなりました。
また、休日の練習も休むようになりました。
入部してから間もない時期なので、疲れが出たのだろうと気にしないでいました。
しばらくすると、部活動を早退することも休むこともなくなりました。
それ以来、真面目に、真剣に練習し、部内でも同学年をまとめ部員からも信頼されてきました。

2年生になった5月、1年生のときと同じように、部活動を早退し、休日の練習も休むようになりました。
昨年のこともあったので、しばらく様子を見ることにしました。
すると彼女は1年生のときと同じように、部活動を休むことなく夢中で練習を始めました。
3年生になった彼女、そして私はその学年の所属となり、彼女の担任になりました。
生徒が毎日書いている生活日記というものがあります。
その日の出来事や考えていることなど、いろいろなことを生徒が書いていきて、担任の私に渡します。

5月になったある日、彼女が書いてきた生活日記を読んで驚きました。
彼女のその日の日記のタイトルは、「雨が降ってほしい」でした。
なぜ彼女が毎年5月に雨が降ってほしいのか、そして、毎年5月ころになると、部活動を早退し、時には休んでいるのかが分かりました。