生きがいの力 柴田高志
保健知識の乏しさも問題でした。
ある日、お母さんが風邪を引いた大きな赤ちゃんを背負ってきました。
目は開かないし、しゃべろうともしないので、何歳かと聞くと、3歳だといいます。
「何を食べさせているんですか?」と聞くと、おっぱいしか与えていないと言うのです。
これは大変だと思いました。
それまでも発育の遅れた子はいましたが、これほどひどい例は初めてでした。
人間の脳のコンピューターは3歳までに大体組み立てられてしまいます。
しかも、それまでの栄養や環境が大きな影響を与えると言われているのです。
ぜひ0歳児から預かって、健康管理がきちんとできる保育所をつくらなければいかんと思い、これもまた地元の人たちと一緒に行政に働きかけました。
そして、保育所と特別養護老人ホーム、2つの福祉施設をつくることができました。