高齢者は検査の数値は高めの方がいい

70歳からの選択 和田秀樹

健康診断では、血圧、血糖値、コレステロール値など、さまざまな検査項目の数値を出して、正常、異常と判断します。
しかし、その判定値は医者たちが一方的に定めたものであり、また、年齢別によって細かく設定されているものではありません。
にもかかわらず、ほとんどの医者は、数値に異常があれば、薬によって正常に戻そうとします。

血圧や血糖値を下げる薬は、低血圧、低血糖を招き、通常の人でも頭がぼーっとしたり、足元がふらふらしたりすることがあります。
ましてや高齢者の場合には、足元がおぼつかなくなり、店頭、骨折につながる危険性が大きいのです。

原則的に、歳をとればとるほど、こうした数値は高い方が楽で、低くなるとだるくなります。

栄養状態が良くなった現代では、動脈瘤がない限り、血圧が200㎜hg未満でも血管が破れることはまずありません。
また、動脈硬化を防ぐためには血圧をコントロールした方がいいのですが、ひとたび動脈硬化が生じてしまうと、逆に血圧が高い方が脳の血管の通りが良くなり、脳梗塞の予防にもなるのです。