人は死ぬから幸福になれる 島田裕巳
若いときには、いろいろ好きなことができて楽しいけれど、年を取るとそうはいかない。
楽しいこともなくなるし、そもそも楽しむためのエネルギーが失われる。
皆そう思っているんではないでしょうか。
最近では、若い人がなかなか結婚しない傾向が強くなっていますが、そこにも若いうちは自分のしたいことをして、存分に楽しみたいという思いがあります。
結婚すれば何かと制約が多くなり、楽しみの時間が削られる。
だから自分は、独身生活を謳歌するのだ。
若いときの方がはるかにいいという思いは、自分が年を取ることへの恐怖にも結びついています。
古代のインドの人々は「輪廻」ということを信じていました。
人間は死んだ後、輪廻して、また別の生き物に生まれ変わると信じられていたのです。
インドの人々は、来世においては必ずしも人間には生まれ変わらないと考えました。
再び人間に生まれ変わるのは稀なことで、他の動物などに生まれ変わることの方が多いと考えたのです。